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徳島県-慈眼寺の穴禅定

徳島県勝浦郡上勝町に位置する慈眼寺は、四国別格20霊場の第3番札所であり、弘法大師空海によって創設された伝統ある寺院だ。
あるとき大師は、深い山中の霊谷の更に奥地に位置する神秘的な鍾乳洞を発見した。この洞窟は霊気が漂う場所だったので、大師様は、洞窟の入口で邪気を祓うための護摩祈祷の修行を行った。修行の結願が近づいたある日、洞窟内に潜んでいた悪い龍が突如として現れ、大師に向かって激しく襲い掛かって来た。この危機的状況にも動じることなく、大師は秘密真言を唱えて法力を発揮し、その力で悪龍を洞窟の奥深くに封じ込めた。この行いによって、洞窟は霊験あらたかな修行の場として定められ、穴禅定(あなぜんじょう)と呼ばれ、秘法は後世の修行者たちのために残されることとなった。

お寺から穴禅定に行くには、山道と険しい崖を約15分程登って行かなければならない、そして修行者が鍾乳洞の中の非常に狭い通路を通過するという過酷な試練を課す。この修行は、精神的な成長と自己超越を目的としており、参加者は自我と向き合いながら内面の浄化を図ることを求められる。
修行には体の大きさが直接的な影響を与え、特に胸やお腹が大きいと狭い穴を通過できないため、境内脇にある路幅体験で確認が必要だ。

穴禅定の修行では、厳しい物理的条件のもとでローソクの明かりのみを頼りに進むことから、精神的な集中力と冷静さが求められる。途中、狭い通路を通る際には匍匐前進で前後の人との協力が不可欠となる。以前は救助が必要になった人達がいたのだとか。特に通路が狭いため、身動きが取りにくい状況での互助は、参加者間の連帯感を醸成する。

修行を通じて参加者は、先祖供養や家族の幸福、健康など個人の願いを祈ることができ、鍾乳洞の一番奥の祭壇での祈願ではローソクを一本ずつ増やしていく儀式が行われる。このプロセス自体が、修行の厳しさとともに精神的な充実感をもたらすとされているので、其処までは辛くても我慢して行くしかない。

穴禅定の参加費は、一人で参加する場合が3000円、二人で参加する場合は各1500円、三人以上での参加では一人当たり1000円と設定されており、他人との混合チームで参加することも可能だ。このようにグループでの参加が推奨される理由は、相互支援が容易になるからであり、修行の体験を共有することで恐怖を減じる効果がある。

慈眼寺の穴禅定は、その独特な体験からテレビ番組にも取り上げられるなど、広く知られるようになった。参加者にとっては、ただの修行を超え、自己の限界を試す挑戦であり、多くの人々が精神的な成長を求めて訪れている。この修行は、四国の霊場巡りの中でも特にユニークな位置を占めており、修行後の精神的な達成感は計り知れない価値があると評価されている。

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